TEEKAMPAGNE「teeidee」


テーカンパニエ」は、二十年ほど前に出来たばかりのドイツのダージリン専門パッカー。歴史の浅いパッカーなので馴染みが薄く、ドイツ以外では日本が初めての進出(――後でグーグルで検索してみると、同社はアメリカにも「Boston Tea Campaign」として進出していたようだ)という事もあいまってか、「テー・イデー」というブランド(商標)を日本向けに設えたようだ[――商品自体は個別包装済みのものを輸入している模様――追記。どうやら商標申請がすんなり認められなかったようで、拒絶査定不服の審決(請求:2005-08-29、確定:2006-10-1)が商標審決のデータベースに残っていた*1。どうやらこの兼ね合いが強そうである]。意外に聞こえるかもしれないが、ドイツはダージリンの世界一の消費国。そこを制覇したパッカーの進出という事で、斯界では話題になったようだが、一般的にはまだまだ知られていない。
ダージリンの年間生産量は一万トンから一万二千トンほどだが、テーカンパニエの2005年実績は世界で最も多い四百トンを販売したそうなので、単純計算で二五分の一から三十分の一を扱っている事になる。この手の数字は極上品を保障するものではないが、品質の底上げにはかなり寄与しているはずである。実際、本国ではガーデン・ティ、一つの茶園のみのブレンドからなる所謂「茶園もの」以外に、オリジナルのブレンド(ダージリン地区のみのブレンド)も販売しているそうだ(参照:http://allabout.co.jp/gourmet/tea/closeup/CU20080108A/)。日本での流通も期待したいところである。ブレンド以外にも、「オータムナル」も期待したいところだが、そもそもドイツ人が好きなのはファースト・フラッシュなので、オータムナルは本国でも扱っているのか不明(――08年12月現在でのドイツやアメリカのオンライン・ショップでは、ティ・バッグやダージリン産の緑茶なども取り扱っていた)。
今のところ「テー・イデー」は、その年のファースト・フラッシュから一本、セカンド・フラッシュから一本の、二つの商品のみを扱っている。なお、12月の末日までは本年度2008年産と前年度2007年産のものも扱っているようだ。2007年産は「Nagri Farm茶園」の春摘み、「Bannockburn茶園」の夏摘みが、2008年産は、春摘み、夏摘みともに「Pussimbing茶園」から選ばれているのだが、いずれもオーガニック、それもBIO認証を受けたバイオダイナミック農法によるもので、上記の参照記事では否定されているものの、やはりオーガニックにこだわりがあるのではないかと思われる(――個人的な見解として、シュタイナーの「バイオダイナミック農法」は疑似科学の一種と見ている。「オーガニック」全般に関しては、経済行為としては否定的で、趣向としては悪くないと考えている。経験則的には、良かれ悪しかれ癖が強く、個性的なものが多い)。
オーガニック以外の共通項として、上記の三茶園はいずれも「チャモン・グループ(Chamong Tee Exports Pvt. Ltd.)」に属する事があげられよう。このグループはダージリンに十二の茶園を持ち、年間生産量のおよそ12.5〜15%ほどを占めているので、生産量的にも今後このグループのものから選ばれる可能性が高いのではないかと踏んでいる。即ち、Pussimbing、Chamong、Tumsong、Lingia、Nagri Farm、Bannockburn、Dhajea、Ging、Soom、Phoobsering、Tukdah、Marybongの十二茶園である。このグループの茶園はオーガニックに熱心であるし(――移行済みが七、移行中のものが五)、そもそも、名前からして「Tea」ではなく「Tee」である事を鑑みると、ドイツ系との結び付きが強い事が推測される。いくつかは日本でも知られた名園なので、予想の当たり外れを抜きにしても、来年度を楽しみに待ちたい。
概要はこれまでにして、自分の目で見て触れた事について。写真を見れば分かると思うが、包装は極めて簡素である(――我が国が総じて過剰包装気味という事情を加味しても簡素である)。写真左側のギフト・ボックスはオプションで頼まないと付いてこない。包装はアルミ袋(――外側はアルミで、内側は紙で出来ている)だが、日本でよく見かけるようなプレス閉じはされておらず、袋の端を折りたたんでテープで貼ってとめただけである。開封してみて影響は特に感じられなかったので、気にするほどではないと思う。
購入は通販専門で、基本的なやりとりはメール。基本的には「注文受付通知」「注文内容確認」「発送通知」の三通のメールが送られてくる。注文の際に備考欄があって、そこに質問などを書いておくと丁寧に答えてもらえた。配達指定は時間帯のみ注文書にあるが、発想通知がメールで送られてくるので把握は可能。気になるようであれば、前もって備考欄に記すか、メールで予定日を尋ねておけば良いだろう。我輩の場合、木曜午後に注文して、土曜の朝にペリカン便で届いた。時間帯の厳守度は配送地域と配送員次第で、多少のズレは不可抗力であろう。なお、商品は倉庫で一括管理しているようで、定期的に倉庫開けて商品を配送しているようだ。だから、配達までの日数にも多少のズレはあるかもしれない。
総括すれば、応対も丁寧で、商品も満足のいくものであり、このパッカー、ブランドは広くオススメする事が出来よう。