大塚ベバレジ「天空烏龍茶」(PET)



自販機にて130円で購入。大塚の飲料は気に入っているものが結構あるのだが、自販機も少ないし、ドラッグ・ストアの類でもポカリスエットのような定番を除いて他はあまり見かけない。さて、この「天空烏龍茶」であるが、中々の意欲作である。一時期、缶入飲料で烏龍茶が流行っていたが、定着しなかったのか、或は一連の輸入食品の安全性問題のせいか廃れてしまい、最近は黒烏龍茶くらいしか話題にあがらなくなった。http://allabout.co.jp/gourmet/chinesetea/closeup/CU20070424A/ 『All About』のこの記事を読むに発売は2007年の3月26日と、大体二年も経っている。知ったのはつい最近の事で、二年近くもっているという事は、それなりに売れているのだろうか。中々気に入ったので、是非定着してもらいたものだ。
上記の記事でも十分に詳しいが、より詳細な大塚ベバレジニュースリリース(http://www.otsuka-bvrg.co.jp/news/news_070315_002.html)を見るに、どうやらターゲットは女の人のようで、パッケージのデザインも初期から改定されて、よりやわらかい印象を与えるものになっている。名前の「天空烏龍茶」は、おそらく「高山烏龍茶」をイメージしてのものだろうが、一般的な認知度はいまいちなのではないかと思われる。広く知られているのは、せいぜい一時期流行った凍頂烏龍茶くらいだろう。そういう意味で、より具体的に中身がイメージしやすい名前を付けた方が良かったと思う(――横文字に走るのは安直ではあるけれども、例の毒餃子事件以降、漢字は避けた方が良さそう。たとえば、産地のダラットと「四季春」から連想して「Ever Green」、或は台湾茶用語をそのまま採って「清香」など、どうであろう?)。
さて、肝心の中身であるが、中々の再現度であると感心もの。確かに、これは味も香りも台湾烏龍茶。ただ、「杉林渓」は高級品なので、おそらく割合的には少ないのだろう。ベトナムは「ドイモイ政策」開始以降、積極的に外資を入れて輸出向けの茶の開発を進めており、従来の茶業と異なった挑戦的な試みが為されているそうだ。おそらくはその兼ね合いで、台湾純製ではコスト的に割に合わないだろうが、人件費などの安いベトナムなれば、それなりに良いものを適当なコストで出来るので、日本の茶業者が、台湾茶の品種の一つである「四季春」を導入してみたのだろう。
基本的には四季春の風味で、クチナシの花の香りに譬えられる事の多い、甘く爽やかな華の香りがする。切れの良いキリッとした飲み口に、甘みがある。すぅーっと入って、じわっと甘みを感じ、すーっと引いていく。微かに番茶風の甘さがあるのが、典型的な四季春との違いであろうか。この番茶風の甘みは人によっては不快に感じるかもしれない。電子レンジで温めると少々印象が変わる。飲み口の切れが悪くなるが、とろみがましてまろやかになり、味、香りともに甘みが増す。缶入りのホットも販売しているそうだが、残念ながらそちらの方は飲んでいないので、比較は出来ない。温めると甘くなるのだが、ややくどくなるので、この辺はそれぞれの好みだろう。